いつか秒針のあう頃

"仕事とか忙しい合間に描く方がいいものが出来る"

 

と言っていた2015年


"これから先は、何も考えないで描きたい
自分の本当のものが出てくると思う"

 

と言っていた2020年 

 

大野さんの作品は「いい感じにもがいてるね」が

伝わるのがホントいい。

 

大野さんのもがきは、

いつだってファンと真っ正面から向き合い

想ってくれていたからこそ生まれたもの。

…申し訳ないんだけれどね。

 

いいものを作らなくちゃ

みにきてくれるひとのために。

ファンのために。だった2015

 

ありのままがみたいよね。

ファンの子は、きっとね。だった2020

 

大野さんの中で、ちゃんとベクトルが

自分に向いてるなってことが

伝わってきた瞬間さえも

作品を通してみせてくれた。

 

大野さんを大切に想うファンとして

彼がどんな心境にいた(いる)としても

寄り添えるって思えた

"もがいてる"

といえば、This is 嵐ライブでの

いつか秒針のあう頃。

 

男女の別れの曲。

 

歌詞をみて推測するに、男性のほうは

まだ愛してるけど彼女を想い、自分から

別れを切り出している。

 

愛するが故に

自分の意志と反する決断をした

心の葛藤が描かれた世界観。


Liveでは鏡の演出とSatoshi Ohnoの振り付けの

融合で、この複雑で切ない男性の心のうちを

描いたのかなぁと、みて捉えていた。

 

狭く、薄暗い鏡の世界は男性の心の中。

 

彼女への一筋に行かない複雑な想いをもち

鏡に映る自分と必死に向き合おうとする

胸が詰まりそうなほどの「もがき」

 

細かく波うたせた手の表現は

「過去への愛おしみ」

 

その手をそっと天に掲げ

空を仰ぎ問いかける「心の迷い」

 

こんなにも心の葛藤を描いていたのに

今回の智くんの振り付けからは、

智くん自身の迷いみたいなものを一切感じなかった

 

巧妙な創作ダンスの組み合わせのなかで

複雑に絡み合う1人の男性の心情を

あんなにもストレートで綺麗にまとめることが

できる表現の幅の広さ。

 

本当に美しい最高傑作だった。

 

ソロのアクセントダンスに関しては

欲望を全身から放出させ、

溢れ出た感情をシャウトにも近いフェイクに乗せる

 

震える。


一瞬で時空を曲げるあのダンスは

息が止まってみているのにも気づかないぐらい

"踊る"というよりも"語る"のが大野さんの表現なんだ。


もしも…

あの『夜明けのキス』に振りをつけるなら

どんなだっただろう…

 

Liveで用いられた

1番の歌詞では、目の前で繰り広げられる

男女の別れの一幕がリアルに描かれ

大野さん特有の細かいバイブス的な動きから

そんな儚く消えうる「現実」をみている側にも

強烈に突きつけられるようなアプローチだった

 

一転して2番の歌詞「僕を包み込むような記憶」

「決して消えない素敵なthrough the night」に

繋ぎ目もなしに夜明けにキスをしたこと。

 

など、2人で過ごした淡く優しい思い出に浸り、

彼女の温もりを思い出しては

愛に包まれる場面になっている。

 

ファンとしては、大野さんの夜明けのキス…

を勿論聴きたかったし、恐らく一生根にもつけれど←

 

気持ちがもう重なり合うことのないであろう

2人の"今"という現実を受け止めるという

意志の強さと

 

でも、もしまた2人の気持ちが重なるのなら

そのときは"Be on your side(君の味方でいるから)"

 

また遠い未来で、いつか秒針のあう頃に

巡り会えるかもしれない。

というポジティブな可能性を秘めつつ、

 

だから、ここからは

「誰も知らない自分の人生の一歩を踏み出すんだ」

 

あえて2番の歌詞にある淡い過去の記憶は

自分の中に仕舞い込み

ファンへのメッセージとも取れる言葉だけを

力強くストレートに伝えるための流れだったと。

 

私は、そう受け止めた。

 

心の底から愛しているからこそ

相手を想い

別れを選択することだってある。

 

想い続ければきっと

ひとつの時計盤のうえでまた…

 

 

いつか秒針のあう頃

 

 

大野さんの作る世界に迷いはなかった。

 

#大野智